あさはかな深掘り

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2011年 03月 20日

3/11@さまよった

家族と連絡がつかないまま歩き続け夜を迎えてしまった
何度も何度も携帯電話をリダイヤルする
3月の夜、この町はとても寒い
かじかんだ指は携帯のボタンひとつ押すのもままならない

公衆でんわにひとがずらりと並ぶ
「公衆電話は連絡がつく」と聞いて
わたしも並んで電話をかけた
だけどもそれはただの憶測だったようだ

次第に携帯電話の充電もなくなってきた


電気の消えた町は闇
19:30
そんな時間はまだ仕事をしているだろう
だけど、取り返しがつかないくらいの闇に感じた

そのうえハイヒールを纏った足は
最初はつま先そして足裏
順番に
すね、ふくらはぎ、足の付け根と
「もうダメ」と伝えてくる

市街地にほど近い中学校である避難所へとりあえず避難した
いったん足を休めようというくらいの気持ちで



避難所にいったん腰を落ち着けると
ラジオで津波の情報がはいってくる
その情報はわたしの想像をはるかにこえていた


歩いてでも自宅へ帰った方がいいのか
それともこのままここで朝を迎えた方がいいのか
悩んだ
家族と連絡が取れないまま悩んだ


フーコはとりあえずわたしの父母と一緒にいる
その地域に津波の影響はなさそうだ
夫は大丈夫だろうとおもうが
ピピンはどうだろう
家のなかはひどい状況だろう
割れたものを踏んで怪我をしているのではないだろうか
家具の下敷きになっているなんてことはないだろうか
わたしが夫なら、最初にピピンを救出して
そのあとフーコのいる実家へ向かう
なにごともなければ彼もそうするだろう、信じよう
いまこの暗闇のなか動きまわらないほうがいい

そう考えた

携帯は圏外になってしまった
ラジオからわたしの使っている携帯のキャリアが規制されたと聞こえた
とっくに電話をかける事をあきらめていたが
あらためて本当に不安になる

22:30頃、突然メールの音が聞こえる
夫からのメールだった
「ピピンを救出していまは車のなかにいる」
「いまどこにいる」
この二通
取り合えずほっとし、いまどこにいるのか伝えるメールをした
これが届けば迎えにきてくれるはずだ

しかしそれは届かなかったようだ




深夜になるにつれて寒さが本当に堪える
ビジネス仕様の服装
所持品に防寒具などなにもない


その避難所に中学生くらいの子供たちがいた
子供たちはなぜか子供たちだけで避難していた
そのなかの一人の子供に親から連絡がはいって今から迎えにくるということだった
子供たちが「わあ」っと沸いた
わたしは人が沢山いるにもかかわらずしんとした避難所に「わ」っとほんのり温かい火が灯ったように感じた
だけど感じ方は人それぞれなんですね
子供たちが急に元気になっておしゃべりをはじめると
そばにいた大人が「静かにしてください」と言った
子供たちはしん、とした

わたしは静けさが怖くて、寂しくて、堪らなかったので
子供たちにもっともっと騒いでほしいくらいだったから
それを言った大人に対して
”あいつとは絶対に一緒になにかすることはできないな”
と思った
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by spatspipin | 2011-03-20 21:26 | こと


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